国土交通省直轄工事をはじめ、今や地方自治体でも当たり前になった「電子納品(CALS/EC)」。
しかし、その基準は非常に厳格で細かく、少しでも規定から外れると「エラー」となり、納品メディアを受け付けてもらえません。
「明日が検査なのに、エラーチェックが通らない!」
そんなパニックにならないよう、今のうちに「これだけは絶対守れ」という必須要件をマスターしましょう。
1. 写真ファイルの3大要件(国交省基準)
デジタル写真管理情報基準(案)などで定められている、ファイルそのものの仕様です。
① 画素数(解像度)
- 基準値: 100万〜120万画素程度
- 例: 1280×960 px 〜 2048×1536 px
- なぜ規制があるのか: 最近のスマホは1200万画素など高画質すぎます。そのまま数万枚を納品するとデータ容量が数GBを超え、発注者側の閲覧ソフトがフリーズして動かなくなるからです。必ずリサイズ(縮小)が必要です。
② ファイル形式と圧縮率
- 形式: JPEG形式(.JPG / .JPEG)のみ。
- ※TIFFやBMP、HEIC(iPhone標準)は不可です。
- 圧縮率: 1/8〜1/20程度。画質を劣化させすぎず、ブロックノイズが出ない範囲で容量を落とします。
③ 画像編集の禁止(ここ最重要!)
工事写真は「証拠」なので、信憑性を損なう加工は一切禁止です。
- 絶対NG:
- 明るさ・コントラストの補正(暗いからといって明るくしてはダメ)
- トリミング(切り抜き)
- 文字の書き込み、スタンプ、図形の挿入
- OK:
- 回転(縦横の修正)
- パノラマ結合(一部認められる場合あり)
- 電子小黒板の合成(これは「編集」ではなく「黒板情報の同時記録」として公式に認められています)
2. フォルダ構成のルール
普段のWindowsのような「勝手に作ったフォルダ」は一切通用しません。
電子納品メディア(CD/DVD)の中身は、1文字も違わず以下の構造である必要があります。
- ROOT(ルートディレクトリ)
- INDEX_C.XML(管理ファイル)
- PHOTO(写真フォルダ)
- PHOTO.XML(写真管理情報の本体)
- PIC(写真画像フォルダ) ← 写真は全部ここ!
- \
P0000001.JPG\ - \
P0000002.JPG\ - ...
- DRA(参考図フォルダ)※ある場合のみ
「フォルダ分け」は存在しない?
驚くことに、Windows上(PICフォルダ内)では、写真はフォルダ分けされずに数千枚がフラットに並びます。
「基礎」や「躯体」といった区分けは、全てXMLファイル(PHOTO.XML)の中の記述として管理されます。
だからこそ、フォルダ管理ではなく「専用ソフトによる管理」が必須なのです。
3. テクニカル深掘り:PHOTO.XMLとINDEX_C.XMLの役割
電子納品の「頭脳」にあたるのがXMLファイルです。
① INDEX_C.XML(全貌の地図)
ルート直下にあるこのファイルは、工事全体(図面、写真、調査結果など)のインデックスです。
- 役割: 発注者の専用閲覧ソフト(納品管理システム)が最初に見るファイル。これが壊れていると、たとえ写真が完璧でも「データなし」と判定されます。
- 注意点: フォルダ構成が基準と1つでも違う(例:図面フォルダをDRA2にしてしまった等)と、このXMLとの整合性が取れなくなりエラーになります。
② PHOTO.XML(写真の台帳)
PHOTOフォルダ内にあるこのファイルには、1枚1枚の写真の「身分証明書」が書かれています。
- 記述内容: 写真番号、工種、種別、細別、施工箇所、撮影年月日、代表位置(座標情報がある場合)。
- 不変のルール: XMLに記載されている「ファイル名(P000001.JPGなど)」と、PICフォルダ内の「実際のファイル名」が1文字でも違ってはいけません。
4. 恐怖の「納品エラー」解決マトリクス
納品メディア(CD-R等)を焼く前に、専用ソフトの「エラーチェック機能」を実行します。頻出エラーとその対策をまとめました。
| エラー内容 | 主な原因 | 解決アクション |
|---|---|---|
| ファイル名称不備 | 全角文字、スペースの使用 | 半角英数字とアンダースコアのみにリネーム |
| XMLタグ不一致 | 基準年度の選択ミス | 特記仕様書を確認し、正しい年度で再書き出し |
| 解像度オーバー | 120万画素(1.2M)超え | 専用ソフトの「リサイズ機能」を一括適用 |
| Exifデータ欠落 | 加工ソフトによる情報の消失 | 原版(加工前)の写真に差し替える |
| 禁則文字エラー | 備考欄での「/」「:」等の使用 | コメント欄を全角にするか、記号を削除 |
5. 提出メディア作成時の「最終チェックリスト」
ソフト上のチェックが通っても、物理的な「メディア」で失敗するケースが多々あります。
- メディアの種別確認:
「CD-R」指定なのに「DVD-R」で出していませんか? 国交省などは大容量化に伴いDVD-Rを認めていますが、自治体によってはCD-Rのみの指定が残っています。
- 書き込みセッションのクローズ:
「追加書き込み不可(ディスクを閉じる)」設定で焼いていますか? 追記可能なモードだと、発注者のPCで読めないことがあります。
- 盤面の記入:
油性ペンで工事名、工期、会社名、管理番号を書きましたか?(ラベルシール貼付は、ドライブ内で剥がれて故障の原因になるため「原則禁止」です)
- ウイルススキャン:
最新の定義ファイルでスキャンし、検出ゼロであることを確認しましたか?(ウイルス混入は指名停止レベルの重大事故に繋がります)
6. まとめ:電子納品は「最初が肝心」
電子納品は「最後(竣工時)に頑張る」ものではありません。「最初(着工時)にゴールを決める」ものです。
- 事前協議: どの基準を使うか、どのソフトで管理するかを発注者と握る。
- 日々の積み上げ: 毎日、専用ソフトに写真を吸い上げ、XML項目(メタデータ)を埋める。
この2点さえ守れば、検査前日の徹夜は不要になります。「エラーチェック合格」の緑色の文字を見て、余裕を持って検査に臨みましょう。
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